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森のかりうど 命をいただくということ

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■占冠村の猟師
  エゾシカは現在、北海道全域に六五万頭いるといわれ、その数は増え続けています。天敵のオオカミが明治時代に人間に滅ぼされ、農業が機械化して農地に人が少なくなったり、牧草地が多くなるなど、エゾシカには好条件が揃っているようです。このため、北海道全域で農業や林業への被害や、交通事故が増えています。これは人間にとっても問題ですが、バランスを欠いたエゾシカの増殖は生態系にとっても良いことではありません。
  被害を避けるには農地を囲うという方法もありますが、これでは根本的な解決にはつながりません。つまりエゾシカを減らす役目を一手に担っているのが「猟師」なのです。しかも猟は簡単な仕事ではありません。広い大自然の中からエゾシカを見つけだし、静かに銃をかまえて命中させるには、経験と銃の腕前が問われます。
  占冠村は山あいの土地ですから、農地や森を守るために猟師が活躍しています。そして占冠村の猟師はエゾシカをただ撃つだけではなく、「命をいただくのだから、隅々まで出来るかぎり、きれいにおいしく食べてあげたい。」と考えています。


■「命」をいただくということ
 ではどうすれば、エゾシカをおいしくいただくことができるのでしょうか。これに何より大切なのは「クリーンキル」という考え方です。すなわち苦しみを与えずに即死させること、これは家畜における屠畜と同じことで、むやみに動物に苦痛を与えない動物福祉の観点からも重要です。
 クリーンキルには狙った獲物の頭部を一発で撃ち抜く銃の技術の正確さが問われます。即死せず苦しんで死んだ鹿は体温があがり肉の質が落ちてしまいます。また、内臓を打ち抜いてしまうと肉に臭みが移ってしまうのです。クリーンキルによって仕留められたエゾシカの肉は、素晴らしいジビエ料理の素材へと生まれ変わります。
 占冠村ではこのような考えを伝えるために、修学旅行などでエゾシカの環境プログラムを実施しています。エゾシカの生態や農業被害を学び、猟師から狩猟の方法を学びます。また実際に解体されている現場で命が食材に変わる行程を見学し、エゾシカ料理をいただくのです。猟師はこう話します。「今日はエゾシカの命について考えてもらいましたが、みなさんが普段食べている豚や牛や鶏も同じように生きています。いただきますは命をいただくということなのです。」